いま、世界中で増加傾向にある肥満は、近年のメタボローム解析技術の進歩により、腸内細菌と深い関係があることが科学的に証明されつつあります。最近のメディアでは「F/B比」や「肥満菌」といった言葉も飛び交い、具体的なデータに基づいた話題も。腸内細菌が肥満を制御する3つのメカニズムを知ることは、今後の肥満対策でこれまでになかった視点を手に入れるきっかけとなるでしょう。ここでは科学的根拠に基づき、効率的な肥満対策として6つの取り組みも紹介します。肥満の人も、肥満のリスクを抑えたい人も、より良い“腸活”のためにお役立てください。
記事の目次
世界人口の1割が肥満、続く増加傾向
現代において肥満は、その発症率が年々増え続けていることもあって、世界的に深刻な健康問題となっています。肥満の定義は国ごとに異なり、日本ではBMI(体格指数)※25以上がその基準です。
195か国を対象に1990年から25年間にわたって実施された大規模な分析結果によると、すでに世界人口の約10%が肥満に該当していると示されました。このままのペースで推移すれば、2030年までに世界の肥満者数は11億2000万人に達すると予測されています。
こうした状況下で、解決の鍵として大きな注目を集めているのが「腸内細菌」です。これまで肥満は、主に遺伝的要因と環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられてきました。しかし近年の研究では、腸内細菌叢(そう)(いわゆる「腸内フローラ」)と肥満との密接な関連を示す報告も相次いでいます。そのため、腸内細菌叢の管理は、従来の肥満対策とは全く異なる新たなアプローチとして期待されているのです。
※BMI(体格指数、Body Mass Index):世界共通の肥満度の判定に用いられる指標で、体重(kg)を身長(m)の二乗で割って算出する。

明かされ始めた「肥満と腸内細菌」の関係
肥満と腸内細菌に関する研究は、21世紀に入り爆発的に増えています。医学データベース「PubMed」で検索すると、2000年から2021年の間に発表された肥満と腸内細菌叢に関する論文数は、じつに4,000件以上です。こうした研究の蓄積により、腸内細菌叢がヒトのエネルギー吸収や食欲の調節、脂肪蓄積、さらには慢性炎症や概日リズムにまで深く関わり、肥満を制御している実態が明らかになってきました。
通常、ヒトの腸内細菌は「バクテロイデス(Bacteroidota)門」「ファーミキューテス(Bacillota)門」「プロテオバクテリア(Pseudomonadota)門」「アクチノバクテリア(Actinomycetota)門」という4つの門※が大部分を占めます。そして残りの数%を構成しているのが、「ヴェルコマイクロビア(Verrucomicrobiota)門」や「フソバクテリア(Fusobacteriota)門」などに属する細菌です。
※細菌の分類では大きいグループから順に、ドメイン>門>網>目>科>属>種に細分化されます。ここでは、2021年に改訂された国際原核生物命名規約(ICNP)に従い、「旧名称(新名称)」で記載しています。

いわゆる善玉菌として知られる乳酸菌は「ファーミキューテス門」、ビフィズス菌は「アクチノバクテリア門」に属する細菌です。これら特定の菌をいくつか組み合わせて作ったプロバイオティクスを摂取することで、「非アルコール性脂肪性肝疾患」※を患う人のBMIが有意に減少したという報告もあります。
一方、最近になって注目を集めているのが、2004年に初めて単離された「ヴェルコマイクロビア門」に属するアッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)です。この細菌は、インスリン感受性など、メタボリックシンドロームや肥満に特有の症状を改善する効果が臨床研究で実証されています。
その鍵を握るのが、酵素を利用した粘液層の主成分である糖タンパク質「ムチン」※の分解です。この分解プロセスが刺激となり、腸管上皮細胞の粘液層はかえって厚みを増し、傷ついた腸管バリアが修復されることが分かってきました。ただし、過剰な分解は炎症性腸疾患を引き起こす可能性も否定できないため、腸に病気を抱える人の摂取には注意が必要でしょう。
もっとも、同じ「門」に分類される細菌であっても、基本的な分類単位である「種」が異なれば、その効果が同じとはかぎりません。また、皮下肥満と内臓肥満に特化した腸内細菌叢の研究も、まだほとんど進んでいません。爆発的に研究が進んだとはいえ、肥満と腸内細菌の関連性には、今なお解明されていない領域が数多く残されているのです。
※「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」は現在、「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」という名称に変更されています。
※ムチンと腸管上皮細胞、腸管バリアについては、既存記事『腸管バリアのしくみと機能。食事と腸内細菌が大きく関与!』で詳しく解説しています。
話題の「F/B比」「痩せ菌」「肥満菌」とは?
欧米の研究では、「ファーミキューテス門」と「バクテロイデス門」の比率である「F/B比」が肥満と関係するという発表がありました。しかし、これは必ずしも日本人には当てはまらないことが分かっています。
一方で、日本人の研究においてその効果が確認されてるのが、“痩せ菌”の代表格「ブラウティア菌」と、“肥満菌”の代表格「フシモナス菌」です。これらは同じ「ファーミキューテス門」に属するにもかかわらず、真逆の働きを持っています。
痩せている人に多いブラウティア菌は、動物試験において高脂肪食による体脂肪の増加を抑える効果が確認されました。これには、脂肪を溜めないように働くオルニチンやアセチルコリン、Sアデノシルメチオニンなどの物質を産生することが関与しています。さらに、アミロペクチンの蓄積と、乳酸や酢酸などの産生を介して、腸内環境を改善できる可能性もあることが示されました。
ただし、この菌を保有していても、腸内細菌全体における割合が極端に低い場合は、十分な肥満抑制効果は得られません。

対して、太っている人に多いフシモナス菌は、高脂肪食を摂取したときにトランス脂肪酸などの「悪玉脂質」を産生し、肥満や高血糖を促進させます。実際に動物試験では、体重や脂肪重量の増加に加え、血液中のコレステロール値や血糖値が悪化することも確認されました。さらに、産生された悪玉脂質は、腸上皮細胞どうしを密着させる「タイトジャンクション」の遺伝子発現を低下させることで、腸管バリア機能を低下させてしまうのです。
日本人において、「ファーミキューテス門」は腸内細菌全体の約5割を占めています。現状ではまだ、肥満に関わる全ての菌が同定されているわけではないものの、「努力してもなかなか痩せない」と悩む人は一度、腸内フローラ検査を受けてみるのも一つの手かもしれません。
腸内細菌が肥満を制御する3つのメカニズム
腸内細菌叢は、私たちの脂肪組織を制御する司令塔のような役割を担っています。その詳しいメカニズムについては現在も引き続き研究が進められているものの、これまでに明らかになっている3つの主な経路は以下のとおりです。
① 脂質の吸収量を調節する
2000年代初頭、腸内細菌叢が宿主の脂肪蓄積を調節する能力を持つことが報告されました。
まず、脂肪蓄積を促す作用においては、腸内細菌が食事から取り込んだブドウ糖の吸収量を増やすよう腸管へ働きかけ、血液中のブドウ糖濃度を高めます。これにより肝臓での脂肪合成が活性化され、生成された脂肪が再び血液を介して全身の脂肪細胞へと運ばれ、蓄積されるという流れです。
反対に、脂肪蓄積を抑える作用についても少しずつ解明されてきました。近年の研究では、
L. paracasei(ラクトバチルス・パラカゼイ)という腸内細菌がこの調節に関与しているという、具体的な菌種による報告も。この細菌は特定の因子(空腹時誘発脂肪因子:ANGPTL4)の発現を誘導することで、脂肪の吸収を助ける酵素「リポタンパクリパーゼ(LPL)」の働きを阻害し、脂肪細胞への脂肪蓄積を減少させます。
実際に動物試験では、あらかじめこの細菌を定着させたマウスは、高脂肪食を摂取しても肥満になりにくいことが確認されました。これらの反応経路にはまだ分かっていない部分も多く、今後のさらなる研究に期待が寄せられています。

② 脳腸相関で満腹感を与える
腸内細菌は、満腹感を誘導することで宿主の食欲を抑え、過剰なエネルギー摂取を防ぐ役割も担っています。このメカニズムの柱となっているのが、近年広く知られるようになった「脳腸相関(のうちょうそうかん)」※です。
例えば、食物繊維を摂取すると、腸内細菌による発酵で短鎖脂肪酸が産生されます。これが腸と脳をつなぐ「求心性迷走神経」に直接作用し、脳を介して食欲を低下させることが2018年に初めて発見されました。
また、産生された短鎖脂肪酸は腸管の特定の受容体にも働きかけ、腸内分泌L細胞からの消化管ホルモンの分泌を制御しています。代表的な消化管ホルモンは「PYY(食欲抑制ホルモンペプチドYY」や「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」で、これらが脳にシグナルを送ることで摂食量に影響を与えるのです。
現に肥満の人では、短鎖脂肪酸の一種であるプロピオン酸を摂取することでPYYとGLP-1の分泌が促進され、体重や脂肪重量の増加が顕著に抑えられたという報告があります。
※「脳腸相関」については、既存記事【ブレインフォグの原因「腸内細菌の乱れ」と脳腸相関とは?】で詳しく解説しています。

③ 代謝産物が脂質や糖の代謝を改善する
腸内細菌は様々な生理活性物質を産生します。なかでも短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)は、宿主の体内にある受容体(GPR41、GPR43)と結合することで、脂質代謝を改善する効果があることが分かってきました。
具体的には、受容体「GPR41」が交感神経を活性化させて心拍数や体温を上昇させ、エネルギー消費を高める方向に。一方の「GPR43」は、脂肪組織への過剰な蓄積を防ぐことで、脂質が効率よく代謝される環境を整えています。
また、肝臓でつくられた一次胆汁酸が腸管へ流入したあと、腸内細菌の働きで産生される二次胆汁酸(デオキシコール酸)は、糖の代謝において欠かせない存在です。慢性的な高血糖は、筋肉や肝臓などで消費しきれなかった糖を脂肪として蓄積させるため、肥満防止には正常な糖代謝の維持が欠かせません。
二次胆汁酸は、腸内分泌L細胞に働きかけて消化管ホルモン「GLP-1」の分泌を促進します。このGLP-1は、食後の血糖値が高いときだけ膵β(ベータ)細胞からのインスリン分泌を高めるほか、血糖値を上げるグルカゴン※の分泌抑制にも関与し、いま世界的に注目を集めるキーワードです。
※グルカゴン:膵α(アルファ)細胞で合成されるホルモンで、肝臓に蓄えるブドウ糖のもとを分解したり、アミノ酸からブドウ糖を合成したりして血糖値を上げるように働く。
“甘党”必見!肥満を抑えられる腸内細菌の登場
「甘いものはやめられないけれど、太りたくはない」そんな願いを叶える鍵となるかもしれない研究結果が、2025年1月、国内で発表されました。約500人の便検体から、砂糖(スクロース)による肥満を抑制するバイオマーカーとして発見されたのが、「ストレプトコッカス・サリバリウス(S. salivarius)」というヒトの腸内細菌です。
この細菌は、摂取された過剰な砂糖を腸内で「難消化性菌体外多糖(EPS)」という、食物繊維のような物質に変換します。本来なら脂肪として蓄えられてしまう余分な糖を、吸収されにくい有益な物質へと作り変えることで、宿主の糖吸収を直接的にブロックするのです。さらに、産生されたEPSを他の善玉菌がエサとして利用し、肥満抑制に効く短鎖脂肪酸を産生するという、二段構えのメリットも明らかになりました。
この発見は、肥満症を腸早期の段階で防ぐ、全く新しいアプローチにつながると期待されています。近い将来、EPSそのものや、それを産み出すEPS産生菌を軸とした画期的なサプリメントや治療法が確立されていくかもしれません。

肥満予防には「カロリー制限+α」の視点を!
これまで、肥満を防ぐには「摂取カロリーを必要以上に摂らないこと」が第一と考えられてきました。もちろん、この基本は依然として大切ではあるものの、現代においてカロリー計算のみを遵守するのは、もはやナンセンスと言えるでしょう。なぜなら、体内の代謝経路やその機能を網羅的に解析できる「メタボローム解析」の進歩により、私たちの体内ではもっと複雑なことが起きていると分かってきたからです。
事実、短鎖脂肪酸がもつ多彩な作用も、この解析技術によって一気に解明が進みました。「メタボローム」とは、代謝物の総称です。例えば、摂取したブドウ糖が水や二酸化炭素に分解されるまでの過程で生じる、あらゆる中間体を含みます。
現代では、「同じカロリーでも、栄養素ごとに結合する受容体が異なるため、体内での働きも変わる」という考え方が注目を集めています。糖質であれば、その種類によってエネルギーとして消費されやすいかどうかの違いがあり、脂質もまた、その種類によって代謝経路が異なります。さらに食物繊維においては、従来の「水溶性か脂溶性か」という分類に加え、腸内細菌が短鎖脂肪酸を効率よく産生できる「発酵性」※であるかといった新しい視点も欠かせません。
私たちの食事には常に腸内細菌が密接に関わり、本人の意思とは関係なくエネルギー制御に深く寄与しています。食事を単に「脂質・糖質・タンパク質」の数値で捉えるのではなく、その栄養素が「腸内細菌にとってどのように働くか」。そんな多角的な視点をもつことも必要な時代になったといえるでしょう。
※「発酵性食物繊維」については、既存記事『発酵性食物繊維の短鎖脂肪酸が腸活の鍵!食品や効果的な摂り方』で詳しく解説しています。
肥満対策で効果的な6つの取り組み
以上を踏まえ、腸内細菌叢を視野に入れた、具体的な肥満対策として効果的な取り組みを6つ紹介します。

① 運動により筋肉量を増やす
近年、腸内細菌叢と運動との関係を報告する論文が発表されるようになってきました。研究では、運動が腸内細菌の構成を変化させ、より良い代謝系をもつ腸内細菌叢に変わることが示されています。その指標となるのが、腸内細菌の多様性です。
また、筋肉量を増加させるような負荷の高い運動を行う人は、運動習慣のない人に比べて、腸内の短鎖脂肪酸が多く産生されていることも報告されています。この短鎖脂肪酸は、私たちのエネルギー源となり、より効率的な脂肪燃焼が期待できるでしょう。
② ストレスを溜めずに発散する
ストレスは自律神経やHPA軸※(視床下部−下垂体−副腎軸)を介して腸内細菌のバランスを崩す可能性があり、結果として太りやすい体質を招きます。自分なりのリラックス方法を見つけ、こまめにストレスを解消することは、間接的な肥満対策にもつながります。
※HPA軸については、既存記事『「副腎疲労症候群・HPA軸の機能障害」検査や受診、食生活で副腎をケアする方法』で詳しく解説しています。
③ 規則正しい時間で食事をとる
腸内細菌は、「概日転写因子(NFIL3)」という、脂質の取込みと貯蔵を司る因子を制御する能力をもっています。そして、この機能を正常に保つために欠かせないのが、「摂食リズム」です。不規則な食生活は、腸内細菌叢がもつ本来の概日リズム(体内時計)を狂わせ、結果として脂質をコントロールする仕組みそのものが崩れやすくなるリスクを招きます。
研究では、時差ボケを経験しているヒトの便をマウスに移植したところ、そのマウスは肥満やインスリン抵抗性※を発症しました。一方で、時間を決めてとる食事が腸内細菌叢の概日リズムを整え、高脂肪食による肥満や糖代謝の悪化を抑えたことも示されています。
食事の時間は無理のない範囲で、規則正しくとるように心がけましょう。
※インスリン抵抗性:インスリンが十分に作られていても細胞や組織での働きが弱くなり、糖が利用されにくくなる状態のこと。肥満では顕著にインスリン抵抗性が認められる。

④ 腸内環境を整える食事をとる
規則正しい時間での食事に加え、その内容にも配慮することが、肥満対策の大きな助けとなります。腸内で有益な菌を摂取する「プロバイオティクス」や、そのエサとなる成分「プレバイオティクス」、そしてこれらを組み合わせた「シンバイオティクス」といった視点も重要です。身近な食材をどのように選び、組み合わせれば腸内環境が整えられるのか。具体的な実践方法については、既存記事『腸内環境を整える食事、食材の選び方と効果的な組み合わせは?』で詳しく解説していますので参考にしてください。
⑤ ミトコンドリアの質を上げる
肥満対策において、エネルギー消費を底上げすることは欠かせません。そこで鍵となるのが、細胞のエネルギー工場である「ミトコンドリア」です。腸内細菌がつくり出す酪酸は、ミトコンドリアの機能を活性化する働きがあり、エネルギー消費を促して肥満を予防することが知られています。しかし、せっかく酪酸を増やしても、受け皿となるミトコンドリア自体の質が悪いと、期待するような効果は得られにくいでしょう。
ミトコンドリアの質を高める方法については、既存記事『「ミトコンドリア」連載③ 新薬登場とミトファジー、ミトコンドリアの質を高める方法』で詳しく解説していますので参考にしてください。
⑥ 腸内洗浄や善玉菌注入療法を受ける
より積極的に腸内細菌叢を改善し、効率的な肥満対策につなげる方法として、専門の医療機関による「腸内洗浄」と「善玉菌注入療法」※を受けるといった手段もあります。
これは、専用の医療機器でろ過した大量の温水を用いて、乱れた腸内細菌叢をしっかりと洗い流す「腸内洗浄」を行ったあと、リセットされた腸管内へダイレクトに有益な細菌を送り込む「善玉菌注入療法」を組み合わせた治療です。
特に、腸内フローラ検査※などで自分の腸内細菌バランスに不安を感じている人、食事や生活習慣の改善に取り組んだ効果を最大限に高めたい人、あるいは出来るだけ短期間で集中的に環境を整えたい人は、一度専門の医療機関で相談してみるとよいでしょう。
※善玉菌注入療法については、既存記事『「腸内細菌」の最新知識をおさえて、自分にぴったりの「腸活」をしよう!』で詳しく解説しています。
※腸内フローラ検査については、既存記事『「腸管バリア(リーキーガット)検査」で腸の状態を知り、自分にあったケアを!』で詳しく解説しています。
肥満と腸内細菌を一度に相談できる医療機関は?
腸内細菌を介した肥満対策には、最新の知見に基づいたアプローチを提供し、かつ消化器の専門的な診断設備を備えた医療機関を選ぶことも大切です。
例えば、前述の「腸内洗浄」では、あわせて腸管エコー検査を行うことで、大腸がんによる異常に伴う腸管内圧の上昇を早期に見つけられることも。万が一、異常が認められる場合、そのままスムーズに大腸内視鏡(大腸カメラ)検査へ移行できる体制が整っていれば、日を改めて検査し直すといった負担も最小限に抑えられます。

まとめ「腸管バリア」ケアも忘れずに
肥満と腸内細菌を語る上で、もう一つ忘れてはならないのが「腸管バリア」の存在です。腸内細菌が産生する成分の中には、炎症を引き起こすLPS(リポ多糖)という物質があります。バリア機能が弱まり、「リーキーガット(腸漏れ)」の状態になると、LPSが体内に侵入してインスリンの働きを阻害し、肥満を加速させる方向に。
若いうちは太りにくかった人も、加齢とともに代謝が低下し、肥満のリスクは高まります。だからこそ、肥満になる前から、日常的に腸内細菌叢を良好に保ち、腸管バリアを保護する取り組みが欠かせません。
現代ではメタボローム解析などの技術進歩により、科学的根拠に基づいた効率的なアプローチが可能になってきました。まずは身近な生活習慣の改善から始め、より効率よく変化を実感したい人は、専門の医療機関に相談してみるのも手です。
「脂肪細胞」ではなく「健康的な心身」を膨らませるための“腸活”。できることから取り組んでみませんか。
