2022.04.26/最終更新日 2022.04.26

ブレインフォグの原因「腸内細菌の乱れ」と脳腸相関とは?

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頭が重くてぼんやりとする状態の「ブレインフォグ」は、過敏性腸症候群のような病気でないひとでも、知らないうちに発症していることがあります。その原因のひとつは腸内細菌の乱れ。昨今の乳酸菌ブームや新型感染症の影響もあり、免疫やアレルギーに関する腸内細菌の働きは広く知られるようになりました。一方、脳と腸との双方向で影響し合う「脳腸相関」についてはまだあまり知られていません。ここでは、腸内細菌の乱れからくる症状や脳と腸との情報伝達における仕組み、ブレインフォグに対する予防方法についてご紹介します。

おなかと脳をセットで考える 「脳腸相関」とは?

脳腸相関

脳腸相関とは、脳とおなか(腸)で両方向におこなう情報伝達のやり取りと相互に影響を及ぼしあう関係のことです。不安やストレスを感じると急な腹痛や下痢、おなかが張ってグルグルと鳴るような経験をしたことはありませんか?これは、脳から腸に向けた情報伝達の信号からくる影響のひとつです。対して今までよくわかっていなかった腸から脳に向けた影響についても、近年の研究で明らかになってきました。そしてこの脳腸相関における要因の一つとして、腸内細菌が関わっていることがわかってきたのです。

腸内細菌の乱れによって起こる症状や疾患

腸内フローラを乱す原因と、病気の関係性

腸内細菌には善玉菌や悪玉菌などがあり、それらのバランスが崩れるとおなかにかぎらず全身で様々な不調が起こり得ます。たとえば不眠やうつ病などに悩むひとの腸内環境では、悪玉菌が優位であることもわかっているのです。また、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの生成量は腸内細菌が乱れると少なくなり、結果として精神的に不安定な状態を引き起こします。

あと、アレルギー反応の出やすさや太りやすさは、遺伝体質によるものとあきらめていませんか?じつはこれらのほか多くの病気における発症や進展に対し、腸内細菌が関与していると考えられているのです。その理由として、私たちの免疫や代謝※のシステムに腸内細菌の働きが深く関わっているということが挙げられます。

※代謝(metabolism):体内で酵素の働きによって化学反応をおこし、分解や吸収などを行う過程のこと。呼吸のほか、タンパク質や脂質、糖質もこの反応を受けることで私たちの身体が維持されている。

頭がぼんやりする「ブレインフォグ」を起こしていませんか?

腸内細菌の乱れは気づかないうちにすこしずつ進行し、「ブレインフォグ」と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。これは過敏性腸症候群の患者さんに多くみられる症状のひとつで、頭が鉛のように重くなり考えがまとまりにくくぼんやりとした状態です。その原因は脳内にあるワーキングメモリ※が、食物繊維をもとに腸内細菌のつくり出す短鎖脂肪酸を栄養素として働いているから。腸内細菌の乱れによってこの短鎖脂肪酸が少なくなると、脳の司令塔でもある前頭前野や海馬が働きづらくなり徐々にブレインフォグを発症していきます。これを放置すると、過敏性腸症候群のほか炎症性腸疾患や大腸がんのリスクが高まることも。そして進行すると不安感や精神的な疲労がたまって認知機能の低下にもつながる可能性があるため、早いうちにケアすることが大切です。

まずは次にあげるチェックリストを使って、ブレインフォグを起こしていないか確認してみましょう。

【ブレインフォグのチェックリスト】

① 慢性的に下痢や便秘の症状がある
② おなかが張っている
③ リモートワークやもとのライフスタイルから運動不足になっている
④ 栄養バランスのかたよった食事や、アルコールを飲みすぎることが多い
⑤ 睡眠不足
⑥ 相手の話が聞けなくなった
⑦ ものごとを開始するのに時間がかかる
⑧ ものごとを同時進行できなくなった
⑨ 風邪をひきやすい
⑩ なんらかのアレルギーがある 

※ワーキングメモリ:脳内の前頭葉や海馬に存在する、情報を一時的に記憶して状況にあわせて複数の仕事をこなすためのシステムのこと。

メカニズムその1:おなかの不調が脳に影響

腸内細菌の乱れはワーキングメモリの機能が低下する短鎖脂肪酸の関与によるほか、どのように脳へ影響するのでしょうか?

これには腸内細菌の変化によって腸の粘膜が影響を受け、内臓の知覚が過敏に反応を起こすことがあげられます。すると腸から脳への情報伝達に異常が生じてうつ症状や性格の変貌を起こしたり、ときには脳の局所的な変化を起こしたりすることも。

たとえば過敏性腸症候群を患うひとでは正常なひとと比べて、腸内細菌の乱れが顕著であることに加え、不安やうつといった心理的変化も多く見られます。そのひとたちの腸内細菌を整えておなかの状態がよくなると、同時にうつ症状なども改善したという報告があるのです。

メカニズムその2:脳の不調がおなかに影響

私たちはストレスにさらされると、脳内にある視床下部でCRH(corticotropin-releasing hormone、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)というホルモンが分泌されます。このCRHが間接的に私たちの代謝や免疫、さらに交感神経を活性化してストレスから身体を防御しているのです。

しかしストレスが長期にわたるとCRHが過剰に分泌されつづけ、本来とはまったく逆の働きをすることに。その結果、副交感神経が優位になることで大腸の運動を活発にしたり、大腸粘膜の状態を変化させ内臓の知覚を過敏にしたりします。過敏性腸症候群ではこのCRHを含み、食物やストレスに対して高い反応性をもつひとが多いのです。 また、一時的にも極度のストレス下に置かれると腸内細菌が乱れて悪玉菌が増えるということが、我が国における阪神・淡路大震災前後や1976年のアメリカ航空宇宙局(NASA)による研究で明らかにされています。この原因はストレス時に消化管の局所で放出されるカテコラミン※が、直接的に大腸菌などの病原性を持つ悪玉菌の増殖を促すためです。

※カテコラミン(catecholamine):副腎や交感神経などから合成または分泌される神経伝達物質の総称で、アドレナリンやドパミンなどもこれに含まれる。

腸内環境を整え、ブレインフォグを予防するには?

腸内環境を整えるには、よい睡眠をとることがいちばんです。心身をリラックスさせることで副交感神経を優位にして、寝ているあいだにきちんと消化管の動きを活性化しましょう。

そして睡眠の質をよくするために、次にあげる3つの方法を試してみてください。

【睡眠の質をよくする3つの方法】

【方法1】睡眠前の入浴
38~40度くらいのぬるめのお湯で10~20分、ゆっくり入浴し身体を温めましょう。

【方法2】睡眠前のブルーライトをさける
スマートフォンやタブレット、パソコン等のブルーライトは交感神経を活性化し睡眠を浅くするため、寝床についたら見るのを控えましょう。

【方法3】消化の良いものを食べる
夕食が遅くなるときには、豆腐をつかった料理など消化のよいものを摂りましょう。

現代において腸内細菌は、「なんとなく身体に必要なもの」から科学的なデータをもって、脳と密接に関連する「全身の健康を左右するもの」へと変わってきました。そしてこの“全身”には、脳のパフォーマンスや認知機能の低下、精神的な状態までもが含まれるということを忘れてはいけません。

知らないうちにブレインフォグを引き起こさないためにも、元気なうちから腸内細菌を整えるライフスタイルを心がけましょう。 当院では、腸内環境を整える為に、腸内フローラ移植療法(腸内環境リセット療法)を施行しています。乳酸菌カクテル(約2兆個)を直接、大腸内に注入します。ご興味をお持ちの方は、是非お問い合わせください。


 

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