2022.07.29/最終更新日 2022.07.29

「腸活」や「菌活」をする前に知っておきたい!“SIBO(シーボ、小腸内細菌異常増殖)”とは

大腸の内視鏡検査

下痢や便秘、おなかの張りなどを整えるために発酵食品や乳酸菌を摂ることがありますか?おなかのほかにも睡眠の乱れや風邪をひきやすいなど多くの不調をひき起こす“SIBO(シーボ、小腸内細菌異常増殖)”は、小腸で腸内細菌が過剰に増えすぎることにより起こる病気です。症状の似ている過敏性腸症候群(IBS)と共通の部分もありながら、その検査や治療の方法はすこし異なります。ここでは、2020年頃からひも解かれつつあるSIBOの原因や症状、対処方法についてご紹介します。

新しい小腸の病気“SIBO(シーボ、小腸内細菌異常増殖)”とは?

SIBO(シーボ、Small Intestinal Bacterial Overgrowth、小腸内細菌異常増殖)とは、小腸で細菌(バクテリア、bacteria)が異常に増えすぎることによってお腹の張りやゲップ、胃酸の逆流、下痢や便秘など多くの不調をひき起こす病気のことです。これはまだ新しい病気の概念で2020年に入ってから、その診断基準の設定に向けてさまざまな研究がおこなわれるようになってきました。

このSIBOがひき起こす不調は、過敏性腸症候群(IBS)にかかっている患者さんとよく似ています。実はIBSでも、小腸において腸内細菌を異常に増殖させることが分かっているのです。これらの特徴や最新の研究を知ることが、不安定なお腹の悩みを抱える患者さんにとって希望の光となるかもしれません。

腸内細菌がSIBOをひき起こす原因

SIBOをひき起こす細菌は、身体の外から入り込んでくるような特別なものではありません。実は、腸内細菌は本来あるべき位置に生息(せいそく)※していないと、かえって私たちの身体にとって負担となることがあるのです。
ここで小腸のことを少しおさらいしておきましょう。 小腸は、長さ6mほどの消化器官で、胃の次に食べ物などが通過します。主に食べ物や薬の消化吸収をおこなう役割を担っており、細かく分けるとさらに3つの呼び方で構成されています。胃に近い方から十二指腸、空腸、回腸です。腸内細菌は、胃から離れて大腸に近づくほど数は増えるものの、通常は小腸にはほとんど生息していません。ここに何らかの原因で小腸にいないはずの腸内細菌がすみ着き異常に増えすぎると、食べ物の分解や発酵によりガスが発生して様々な不調をひき起こす原因になるのです。

※生息(せいそく):腸内細菌の場合は棲息とも記し、ヒト以外の生き物がそこで生活することを示す

 “SIBO”を放っておくと、なぜ危険?

小腸の中に腸内細菌が生んだ多くのガス(水素、メタン、硫化水素など)があると、胃が圧迫されて胃酸が逆流したりおなかが張りやすくなったりします。また、健康に配慮してアミノ酸やビタミン、ミネラルなどの栄養素を摂っても、きちんと吸収できていないかもしれません。そして、腸内環境がわるくなると下痢や便秘などの便通異常にもつながりやすくなります。さらに、腸内細菌のバランスが崩れることで“エンドトキシン”※が過剰に発生し、慢性的な炎症をひき起こして脂肪肝や肥満、耐糖能異常※につながるリスクにも。加えて、免疫機能のおよそ7割を占める腸が影響を受けることで感染症にかかりやすくなるばかりか、睡眠の質や認知機能の低下、自律神経の乱れといった“脳腸相関”からひき起こされる合併症にも注意が必要です。
単なるおなかの病気と捉えていると思わぬ不調や合併症をまねく可能性があるため、このような症状をひき起こす前に、医療機関で検査や診察を受けて対処するようにしましょう。

※エンドトキシン:内毒素とも呼ばれる。多くの腸内細菌が該当するグラム陰性菌の菌体を構成する成分リポ多糖(LPS)のひとつ。

※耐糖能異常:インスリン分泌が低下して脂肪組織でのインスリン抵抗性が高まることで、空腹時の血糖値が下がりきらなくなる状態を示し、これを放置すると糖尿病を発症する確率が高まる。

今日からできる!“SIBO”予防

SIBOを発症する原因には、小腸で腸内細菌が過剰に増えすぎる直接的なものに加え、間接的なものもあります。間接的なものでいうと、肥満であることや脂肪分の多い食生活で腸内細菌のバランスが乱れて発症するということは明らかでしょう。また、腸の収縮運動(MMC、migrating motor complex)における機能低下や、大腸から小腸へ細菌が逆流するのを防ぐ“回盲弁”の不調、胃酸や胆汁の分泌が少ないなどといった、何かしらの異常がかくれている可能性もあります。したがって、自分で判断して胃酸止めの薬を乱用したり、おなかの張りを抑える薬でごまかしたりしていると、症状が悪化し治療がスムーズにいかなくなることもあるので注意しましょう。
ただし、今、すべての原因が解明されている訳ではありません。予防するためには、まずは暴飲暴食を控えて腸内環境を整えておくこと。そして、不調があれば医療機関を受診するようにし、むやみに自己判断で薬を使いすぎないようにすることが大切です。

早めの検査と正しい治療が“鍵”!

近年の日本では、「腸活」や「菌活」などおなかに対する健康意識が高まってきています。しかし、SIBOの存在や状態に気づかないまま、これらの行動をすすめることは危険です。
おなかにかぎらず少しでも不調に気付いたら、専門の医療機関で検査をうけて的確な治療を受けるようにしましょう。
それでは実際の検査と治療にはどのようなものがあるのでしょうか?

<SIBOの検査>

まずは、大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)で腸に炎症が起こっていないかどうかを確認しましょう。このとき、医療機関によっては培養検査※も一緒に受けることが出来ます。この培養検査により小腸内で異常に増えた細菌の実態を詳しく知っておくことは、そのあとの的確な治療へと進むために役立ちます。
また、呼気検査も有効です。小腸の腸内細菌が水素やメタンガスを発生しますので、患者さんの呼気の中の水素やメタンガスを測定して、これらの濃度が高くなっているかを調べます。

※培養検査:回腸末端の腸液を直接採取し、細菌の発育状況を調べる検査

<SIBOの治療>

治療が必要となったら、小腸内の雑菌を増やさないようにすることが大切です。これには、低FODMAP食(ていふぉどまっぷしょく)と呼ばれる食事でSIBOをひき起こしている原因食品を見つけ、摂るのを控えていくようにします。この食事の特徴は、小腸で消化と吸収がおこなわれずに大腸で発酵するという性質をもつ糖質であることです。 そのほか、ストレスや胃酸が少ないなど個々が抱える背景に対するアプローチも大切です。現代のストレス社会では、内視鏡検査や培養検査で目に見える原因を把握することに加えて、潜在的ニーズに対するケアも欠かせません。

「腸活」や「菌活」も健康な人にはメリットのあるものです。しかし、不調のあるひとではまず、医療機関で原因の把握と根本的な治療をおこなって早い段階で元気な自分を取り戻すようにしましょう!

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