2022.10.31/最終更新日 2023.01.31

「抗酸化療法」とは?活性酸素の知識と効果的な老化予防

自由診療

ヒトの呼吸によって取り込まれた酸素のうち数%は活性酸素となり、これは免疫機能やシグナル伝達に関わる一方で、過剰になると細胞へ障害をもたらすことも。近年では活性酸素と酸化ストレスの関係について、より詳しいことも研究で分かってきました。こうした背景もあって今、「高濃度ビタミンC点滴」や「ニンニク点滴」、「グルタチオン点滴」、「マイヤーズカクテル」など医療機関で受けることのできる、老化や疾病予防のための抗酸化療法が注目を集めています。

活性酸素が発生する原因

わたしたちが活動するために必要なエネルギーをつくるには酸素が必要です。とくに運動をしていなくても、1日あたり約430L(リットル)の酸素を消費しています。そして活性酸素とは、呼吸によって体内に取り込まれた酸素がエネルギーへ変換される過程で生じる、不安定で反応性の高い物質の総称です。また、こうした活動のために必要な変換だけでなく、たばこの煙や大気汚染、日光などのさまざまな環境要因や、身体のなかで起こる炎症などによっても生じることがわかっています。

活性酸素から細胞を守るしくみ

ふつう、活性酸素の寿命は長くありません。それは、抗酸化酵素の働きによって取り除くしくみ(抗酸化システムとも呼ぶ)があるからです。ヒトでは主に3種類の抗酸化酵素があり、あらゆる細胞やミトコンドリアなどに広く分布しています。その3種類とは、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD、superoxide dismutase)、カタラーゼ(catalase)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-Px、glutathione peroxidase)の3つです。

これらの抗酸化酵素が細胞内の活性酸素をおよそ10万分の1に減らすことで、わたしたちの細胞を酸化ストレスから守っています。その大まかな流れは、酸素分子のなかで偏った電子の状態にある部分をSODが中和したあと、カタラーゼやGSH-Pxが働くことで水と酸素まで変化させて完全に解毒するという流れです。

活性酸素はすべて“悪者”?種類と役割

わるい印象の抱かれがちな活性酸素ですが、じつは身体にとってデメリットばかりではありません。活性酸素には酸素や水素のほか、一酸化窒素(NO)やイオウなど、ふくまれる分子のちがいによっていくつかの種類があります。このうち、白血球が生み出す活性酸素(スーパーオキシドや過酸化水素など)は、免疫機能や感染防御が働くために重要な要素です。また、細胞間のシグナル伝達※や排卵、受精、細胞の分化、アポトーシス※などをおこなう際の生理活性物質としてもつかわれています。

※シグナル伝達:細胞が適切に働くために必要な刺激や物質などを、ほかの細胞とやりとりする流れのこと。

※アポトーシス:プログラムされた細胞死のことで、多細胞生物の個体をより良い状態に保つために引き起こされる。

活性酸素と「酸化ストレス」の関係

活性酸素はわたしたちの身体にとって必要な存在である一方で、過剰に増えすぎると生活習慣病やがんといった、さまざまな疾病の発症や進展に関与していることも事実です。これには、大気やストレスなど有害な環境への暴露が原因となるほか、加齢による抗酸化酵素の産生がすくなくなることも要因となります。

取り除くことができずに増えた活性酸素どうしで反応を起こし、さらに不安定な性質の“ヒドロキシラジカル”へと変化すると、これを解毒することのできる酵素はありません。この強力な活性酸素はDNAの損傷や脂質の過酸化、タンパク質の変性などを引き起こし、結果として生体膜や臓器の障害をまねきます。 これがいわゆる「酸化ストレス」で、活性酸素の生成が抗酸化システムを上回った状態です。このような「酸化ストレス」から細胞を守るためには、ビタミンやミネラルなどの抗酸化物質を早くから取り入れることが鍵ともいえるでしょう。

活性酸素を取り除く機能(抗酸化能)を高める方法

「酸化ストレス」の予防には、持続的な中程度の負荷でおこなう運動が推奨されています。加えてビタミンCやビタミンEなど、抗酸化作用のあるビタミン類を多く含むバランスが取れた食事も欠かせません。これによって抗酸化酵素の働きを高め、抗炎症作用をもつサイトカイン※を誘導することがわかっています。

しかし、ストレスフルで忙しい現代において、十分な抗酸化能(活性酸素を取り除く機能)を維持していくことは簡単ではありません。サプリメントで補うにもビタミンなどの栄養素には水溶性のものが多く、期待する血液の濃度に達しないことがほとんどです。さらに、そのひとにとって効果を得るために必要な量は、専門的な知識や経験がないと正しく判断することができません。そこで、医療機関で受けることのできる「抗酸化療法」という点滴がおすすめです。

※サイトカイン:タンパク質の一種で、細胞どうしの相互作用に関与する生理活性物質の総称。

抗酸化療法とは?

抗酸化療法とは、科学的な根拠のある抗酸化物質を用いて、活性酸素などの酸化物質を取り除いたり中和(解毒)したりする方法のことです。これらは医療機関において点滴で受けることができ、消化管を通さずに血管へ直接、大量の抗酸化物質を送ることで老化や疾病予防に効果があります。 代表的な抗酸化物質は、ビタミンやミネラル、グルタチオンなど。なかには半世紀以上の歴史をもつ点滴もあり、日本でも実施する医療機関が増えてきています。ただ、疾病の予防やアンチエイジングなどの目的では自由診療となり、医療保険の適用がないことに注意しましょう。

抗酸化療法|高濃度ビタミンC点滴

「高濃度ビタミンC点滴」は副作用がほとんど起こらないため、臨床ではがんの治療にも利用されるほど。点滴なら医薬品を飲む場合とくらべて、20~40倍以上に血液中の濃度を高めることができるとも言われています。また、治療のほかアンチエイジングにも効果があり、シミや日焼けのほか、毛穴の開きやお肌の弾力に悩みを抱えているひとにもおすすめです。とくに、喫煙やストレスの多い生活習慣があって免疫力に不安を感じているようなら一度、検討してみるとよいでしょう。

ただし、腎臓や甲状腺の病気、糖尿病、G6PD欠損症※などをかかえるひとは、前もって医師に相談することが大切です。

※G6PD欠損症(グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症):赤血球の活動に必要な酵素に異常の見られる先天性溶結性貧血のひとつ。

抗酸化療法|マイヤーズカクテル

「マイヤーズカクテル」は、身体の細胞における代謝や反応をよくするために必要な補酵素を、十分な量で取り入れるような点滴です。その内容はビタミンB群やビタミンC、ミネラル(マグネシウムやカルシウムなど)、グルタチオンなど。この点滴の名前は米国の開発者であるジョン・マイヤーズ医師に由来し、半世紀以上たった今でも人気のあるポピュラーな自然療法です。

そして、Mg(マグネシウム)やCa(カルシウム)がバランスよく配合されているのも特徴のひとつ。“だる重い”といった倦怠感や疲労感、日常的に食生活の乱れが気になるひとは一度、検討してみるのもよいでしょう。

抗酸化療法|グルタチオン点滴

「グルタチオン点滴」は、種々の生理活性をそなえたグルタチオンがもつ、活性酸素を取り除く強力な抗酸化作用に着目したもの。グルタチオンとは3つのアミノ酸からなるペプチド※で、ヒトの肝臓などでつくられる抗酸化物質のことです。

この点滴は古くから医療用として、慢性肝疾患や角膜の障害、薬物中毒、妊娠による“つわり(悪阻)”の治療などにも用いられてきました。よくお酒を飲むひとや脂肪肝の気になるひと、肝斑などの色素沈着を改善したいひとにおすすめです。

※ペプチド:アミノ酸どうしが2個以上、ペプチド結合(-CONH)で結合した構造のもの。

抗酸化療法|ニンニク点滴

「ニンニク点滴」は、ビタミンB群のうちB1、B2、B6、B12を配合し、すぐに疲れを取りたいときに効果のある点滴です。ただし、ニンニクの成分は入っていません。名前の由来はニンニクに多くふくまれるビタミンB群が配合されていることと、ニンニクを食べたときのように元気が出ることから。 その効果は、ビタミンB1の働きで体内のエネルギー生成を高めて代謝をうながし、神経痛や筋肉痛に対して早い改善が期待できます。さらに、ビタミンB2とビタミンB6を配合することで皮膚や髪に対する美容効果も。そして、あらゆる神経や赤血球の機能を正常に保つために必要なビタミンB12を配合していることも、特徴のひとつです。

まとめ

まずは、身体のなかで起こっている「酸化ストレス」の概略を簡単に理解し、ふだんの食生活や疲労の度合いをふり返ってみることが大切です。

これからの時代、元気に美しく活動しつづける細胞を目指すには、医療機関で抗酸化療法を受けるというのが賢い選択肢のひとつとなっていくのかもしれません。

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