2024.01.31/最終更新日 2024.01.31

肌のターンオーバー「仕組み&乱れる原因」を知り、改善方法を見つけよう!

美容

肌のターンオーバーとは新しい皮膚が生まれて古くなった皮膚がはがれ落ちるサイクルのことを指し、肌の新陳代謝とも呼ばれています。ターンオーバーは速過ぎると敏感肌や乾燥肌に、逆に遅過ぎるとシミなどの色素沈着や肌がくすんで見える原因に。“美肌”を目指すには、ターンオーバーの働きを正常に保つことが重要です。最近では自由診療を提供する医療機関で、幹細胞培養上清やダーマペンといった効果的な技術も身近に受けられるようになってきました。ここではターンオーバーの仕組みや乱れる原因、振り返りたい10の習慣と必要な栄養素、医療機関で行う改善方法について解説します。

ターンオーバーとは

ターンオーバーとは全身で絶えず行われている代謝回転のことで、細胞や組織が合成と分解をくり返しながらバランスを保っている状態を指します。このうち、皮膚のいちばん外側を覆う表皮(ひょうひ)で起こっているのが、いわゆる肌のターンオーバーです。 おおまかな流れは、表皮を構成する4層のうち最も下の基底層で合成された細胞が形を変えながら上層へと移動し、やがて肌表面にある角質層で一定期間がたつとはがれ落ちるというもの。また、一部の細胞が分解したあとに残るケラチンというタンパク質が、ほかの細胞に強度を与えてバリア機能を高めるように働きます。この合成と分解が表皮の中で正しく行われることで、傷ついた皮膚も時間をかけて元通りに治っていくのです。

ターンオーバーの速度が「透明感・ハリ」に影響!

ターンオーバーの速度は速過ぎても遅過ぎても、美しく健やかな肌を目指せません。これは、肌の“透明感”や“ハリ”にも影響を及ぼします。なぜなら、“透明感”は角層細胞の状態に大きく依存し、皮膚の内部へ光が透過しやすいことで生まれるものだから。もう一つの“ハリ”も、角質層の水分量が整っていることで弾力性のある肌を指す、“ハリ”が実現するからです。

では、ターンオーバーはどのような原因で速くなったり遅くなったりするのでしょうか。

ターンオーバーが速過ぎる原因&状態

まず、基底層で合成されたばかりの細胞は「基底細胞」と呼ばれ、成熟に伴い形状や構造が変わっていくなかで「角層細胞」というふうに呼び名が変わります。

この成熟の過程で紫外線によるダメージや乾燥などがあると、皮膚は内部の組織を守るためにターンオーバーを加速。すると、適度な時間をかけずに急いで合成された角層細胞は、形状も不揃いで必要な機能を発揮するための構造も十分ではありません。

とくに構造で、皮膚に本来そなわっている天然保湿因子※(natural moisturizing factor、以降NMF)と角質細胞間脂質(さいぼうかんししつ)※は角層細胞が成熟するなかで作り出される、肌のバリア機能に大切な因子です。これらが少ないと水分量の少ない乾燥肌や敏感肌、アレルゲンに対して反応しやすく炎症の生じやすい肌を呈することも分かっています。

さらに、角質層の水分量が不十分だと皮膚に入ってくる光の屈折率が大きくなり、透明感の低下にもつながります。

※天然保湿因子:皮膚に元々備わっているアミノ酸類や尿素、ミネラル塩類、有機酸など保湿成分である低分子の総称で、アミノ酸やその誘導体が大半を占める。

※角質細胞間脂質(Stratum Corneum intercellular Lipid、SCL):成熟した(脱核・角化した)角化細胞どうしを埋めるように働き、セラミドとコレステロールと遊離脂肪酸を1:1:1の割合(モル比として)で含む生体膜の一種。

ターンオーバーが遅過ぎる原因&状態

反対に、ターンオーバーが遅くなる要因としては加齢が代表的です。ある研究では、角層細胞のなかで老化した細胞がはがれ落ちるために必要なタンパク質(JAG1、ジャグ1)の数が、加齢によって減ることも分かっています。こうして古くなった細胞がそのまま表皮に蓄積し続けると、メラニンを含む角層細胞も積み重なっていき、シミやニキビ跡が目立ちやすい肌に。

さらに、透明感のない肌の状態を指す“くすみ”も、はがれ落ちずに肌表面で残り続ける形状のいびつな角層細胞が原因です。これによって生じる肌表面の凹凸が、肌にあたる光の散乱反射を多方向へ増やし、皮膚に入り込む光の量が少なくなるために透明感が低下します。

また、加齢では表皮の下にある真皮(しんぴ)が硬く、基底層の下に達する毛細血管の数も少なくなることが分かっており、表皮への栄養供給に及ぼす影響も否定できません。

ターンオーバーの詳しい仕組みは4段階

より詳しい肌のターンオーバーの仕組みは、次の4段階に分けて理解するとよいでしょう。

第1段階|基底層での細胞の増殖

まず、第1段階では基底膜上で一層に連なる基底細胞がその鍵を握ります。基底膜に結合した基底細胞のうち、増殖できる能力を持った細胞は表皮幹細胞(ひょうひかんさいぼう)とも呼ばれて皮膚組織のなかでは唯一、増殖が可能な細胞です。また、増殖に加えて分裂も行い、基底膜に沿った平行方向と肌表面へ向かう垂直方向の2方向で分裂していきます。

ここで、酸化ストレスなどが原因となり表皮幹細胞内のDNAに傷がつくと、機能が低下して基底膜との接着が弱まり、細胞分裂の方向性も異常化することが分かっています。

第2段階|有棘層でのケラチンの合成

続く第2段階では垂直方向に分裂していった細胞が、肌のバリア機能にも重要なケラチン(線維性のタンパク質)を合成します。その合成に必要な材料は、基底膜のすぐ下に達する毛細血管から供給されたアミノ酸です。

第3段階|顆粒層での細胞死

第3段階では、2種類の細胞死(核がなくなって細胞としての機能を失うこと)が起こります。1つ目は細胞そのものに元々、プログラムされている死(アポトーシスという)です。核は小さく縮まり、細胞の形状は徐々に平たくなりながら上層へと移行します。2つ目は外的な要因で起こる死(ネクローシスという)で、細胞が膨張していずれ細胞膜は破れてケラチンのみが残り、これが細胞どうしの結合に関わって表皮の弾性力を強化します。 この2つの細胞死によって分裂する細胞と死滅する細胞の数の均衡が保たれ、正常なバリア機能の維持につながるのです。

第4段階|角質層での細胞どうしの切断

最後の第4段階では死んだ細胞が積み重なり、タンパク質どうしが結合して肌表面の角質層を形成します。最終的に、古くなった細胞がはがれ落ちるために必要なのが、このタンパク質どうしの結合を切るタンパク分解酵素(セリンプロテアーゼ、カリクレインなど)です。

したがって、肌のターンオーバーへの影響は表皮内の水分量や加齢だけでなく、表皮幹細胞の機能や酸化ストレス、アミノ酸のような栄養素なども交えて考える必要があると言えるでしょう

理想的なターンオーバーの周期は何日が正解?

表皮のターンオーバーは、約28日間という記載も多く見かけます。ただ、これはあくまでも、顔と健常の肌にかぎった場合の目安です。とくに、肌表面に近い角質層では身体の部位によって差があります。これに対し、基底層を離れてから有棘層と顆粒層に細胞が達するまでの約14日間では、あまり差がありません。

一般に、顔や手など露出している部位では乾燥や摩擦といった外的および物理的刺激を受けやすいため、角質層のターンオーバーにおける周期は速くなります。一方、露出の少ない体幹部ではこれが遅くなる傾向です。

【部位ごと角質層ターンオーバーの平均周期】
9日間
10日間
手のひら 9日間
手の甲 13日間
肘から下の内側 17日間
肘から上 20日間
背中 24日間
おなか 26日間

また、加齢変化の影響も部位によって異なり、腕の内側や二の腕など外的な刺激を受けにくい部位では特に顕著で、20代から30代に比べると70代から80代では1.5~2倍も遅くなると考えられています。ただし、顔などの(角質層)ターンオーバーが速い部位では、加齢による変化の度合いは二の腕などと比べるとそこまで大きくありません。

乱れる原因、振り返りたい10の習慣

ターンオーバーが乱れる原因のうち、日常生活のなかで注意が必要な習慣は次の10項目です。どのように影響するかも含めて振り返ってみましょう。

【10の習慣とターンオーバーへの影響】
習慣 ターンオーバーへの影響
睡眠不足 皮膚に必要な成長ホルモンの分泌が乱れる 自律神経が乱れる
継続的なストレス 血管収縮による栄養素の供給力が低下 自律神経やホルモンバランスが乱れる
運動不足 筋肉量の低下で血流がわるくなり栄養素の供給力が低下
便秘 腸内細菌の代謝産物が変動して皮膚の水分量や修復力に影響
偏った食事 皮膚に必要な栄養素が不足
喫煙 酸化物質の生成で肌に必要なビタミンCを大量に消費 血管収縮による栄養素の供給力が低下
過度な飲酒 利尿作用によって体内の水分不足を起こし血流が低下
間違ったスキンケア 角質細胞のはがれ落ちるタイミングが乱れる 摩擦や過度な角質の除去があると角質層が厚くなる
乾燥 角質層のバリア機能が低下して外部の刺激を受けやすくなる
紫外線 強い紫外線(UVB)では火傷を引き起こして細胞に損傷 日常的な紫外線(UVA)では長時間の照射で真皮の細胞が損傷

すぐに始める!自分で出来る改善方法

ターンオーバーが乱れる原因とその影響について押さえたら、続いてこれを改善するための方法も確認しましょう。

例えば睡眠不足なら、就寝前のスマートフォンや読書など交感神経を刺激するようなことは控え、ストレッチなどで副交感神経を有意にして睡眠の質を高めます。また、寝ているときに身体の深部体温がきちんと下がることも睡眠の質に関わるため、寝る1時間から2時間前の入浴で身体の表面を温めておくことも有用です。

一方、便秘や腸内環境については、別の記事「腸内環境を整える食事、食材の選び方と効果的な組み合わせは?」で紹介していますので参考にしてください。

また、普段の食生活のなかで皮膚の再生や修復に欠かせないビタミンB2とビタミンB6、毛細血管から栄養を十分に補給するためのタンパク質(アミノ酸)を継続的に摂ることも大切です。最近の研究では豆腐や納豆に含まれる植物エストロゲンが、基底層における細胞の増殖や顆粒層における細胞死、角質層での剥離を促すということも分かってきました。

一般に、ターンオーバーにとって積極的に摂ったほうが良いとされる食材には、鶏卵、大豆食品、緑黄色野菜、バナナ、レバー、魚介類、乳製品などがあります。 そして、紫外線対策では日焼け止めクリームなどの使用や日傘、紫外線を浴びたあとの十分な保湿も欠かせません。

医療機関で行う改善方法、活用をすすめる人

自分ではなかなか取り組みにくいのが加齢による影響と、ターンオーバーの乱れが慢性化したことによる角質層の肥厚(ひこう)や肌表面の凹凸、シミやニキビ跡といった色素沈着などです。これらに対しては自由診療として美容皮膚科を掲げる医療機関で、医師によるピーリング※1や幹細胞培養上清(かんさいぼうばいようじょうせい)※2、イオン導入治療※3、ダーマペン※4などの改善方法があります。

また、このような医療機関では日頃のスキンケアの方法について相談することも可能です。自分の肌質にあったスキンケアを行っているか、相談する場としても活用しましょう。

安全な自由診療の受け方については、別の記事「未病ケアにも役立つ自由診療の受け方と、費用や安全性の知識を身に付けよう!で紹介していますので参考にしてください。

※1 ピーリング:薬剤を用いて角質層をはがれ易くし、肌のターンオーバーを促して正常化させる治療方法。

※2 幹細胞培養上清:幹細胞がもつ自己再生能力と分化能力を利用した再生医療のひとつ。

※3 イオン導入治療:専用の機器を用いて皮膚に微弱な電流を流し、バリア機能で守られた皮膚の奥まで有効成分を浸透させる治療方法。

※4 ダーマペン:ペン状の機器で一時的に肌へ高密度な穴を開け、線維芽細胞を活性化することでコラーゲンなどの生成を促す治療方法。

まとめ

ターンオーバーを正常に保ち、“美肌”を目指すには、自分で出来ることは日常的に取り組む姿勢が肝心。ただ、改善が見られないときや現状を確認したいときには、医療機関で相談するのもひとつの方法です。

「歳にはあらがえない」と悲観的に考えるより、幹細胞を用いた最先端の治療など、積極的に医療を活用できる時代がすでに到来しています。それぞれ自分に合った方法で、“美肌”を目指しましょう。

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